
万博で大阪に行ったんだけど、ねぇ、大阪の地下鉄って高くない?なんかびっくりしちゃった!



うん、くろとの言う通り、感覚的に高く感じるのは無理もない
実は東京メトロの運賃が、他の都市の地下鉄と比べると、長距離になるほどかなり安い。
今回はその理由について見ていきましょう。
前提:短距離はそこまで安くない
東京メトロの短距離運賃は、他の地下鉄と比べてそこまで格安というわけではありません。



あら、そんなに安くないのね・・・
初乗り運賃は170円。
これは日本の地下鉄としては比較的安い部類ですが、JRや大手私鉄が提供する短距離の運賃と比べると、特に目立つ安さではないかもしれません。
なぜ東京メトロの短距離運賃があまり安く感じられないかというと、需要が短距離に集中しているからです。
東京にはとにかく多くの路線があり、非常に便利です。
また、大都会でありながら、新宿や渋谷でも意外と一軒家やマンションも多いため、1駅や2駅といった短い距離でも通勤や通学に地下鉄を利用する人が非常に多いのです。
東京メトロの路線の多くのルーツが路面電車にあることも、駅間距離が短く、短距離移動の需要に応える構造になっている一因と言えるでしょう。
東京の交通網は、短距離の細かな移動をさばくことに特化している、という見方もできますね。
長距離が安いのは?
しかし、長距離になると状況は一変します。
東京メトロの長距離運賃は、他の主要都市の地下鉄と比較すると明らかに安いのです。
具体的に20km程度の距離で比較してみましょう。
- 大阪の地下鉄:390円
- 福岡の地下鉄:380円
- 横浜の地下鉄:370円
- 東京メトロ:300円
これだけで70円から90円もの差があります。ちなみに、東京のもう一つの地下鉄である都営地下鉄でも20kmで約330円です。
これが40kmになると、さらにその差は開きます。東京メトロがいかに長距離で安いかがわかるでしょう。まるで、遠くまで行くほど割引してくれるような感覚ですね。
では、なぜ東京メトロだけがこれほど長距離運賃を安く設定できるのでしょうか。
それにはいくつかの理由が考えられます。
地下鉄単体の長距離ユーザーが少ない
東京メトロの大きな特徴として、銀座線と丸の内線を除くほとんどの路線で、他の鉄道会社との「直通運転」を行っている点が挙げられます。
これにより、多くの乗客は、東京メトロの路線内で完結する長距離移動よりも、直通先の私鉄やJR線と乗り継いで目的地まで移動することが多いのです。
例えば、東西線は三鷹・千葉県方面、千代田線は柏・我孫子、神奈川県方面、副都心線に至っては5つもの路線と直通しています。
そのため、地下鉄単体で20km、30kmと乗り続ける「純粋な長距離ユーザー」は、意外と多くありません。
東西線の千葉県内区間や、新木場・豊洲〜池袋、和光市〜渋谷といった区間は比較的長距離利用者が多いですが、それ以外の路線では乗り換えや直通利用が主流です。
つまり、東京メトロの運賃だけで完結する長距離移動の需要は、相対的に少ないということになります。



たしかに〇〇線直通というのをよく聞くわね・・・
一方、大阪や福岡など他の都市の地下鉄は、東京メトロほど複雑な直通運転は少なく、比較的シンプルなケースが多いです。
そのため、地下鉄単体での長距離移動が多くなり、それに合わせて運賃が設定されていると考えられます。
東京の地下鉄は、もはや単独の地下鉄というより、「都心部の連絡通路」としての役割が強いのかもしれませんね。
赤字路線がほとんどない
東京メトロの運賃が安い最大の理由の一つは、路線の経営が非常に安定していることです。
東京メトロは、最新の副都心線でさえ黒字経営を達成しています。



しかも開業5年目やで!
他の東西線や千代田線などの主要路線も、全国の鉄道の中でもトップクラスの利用者数を誇り、非常に高い収益を上げています。
一方で、他の都市の地下鉄では、既存路線のバイパス線や、都市開発に合わせて新設された路線を中心に赤字を抱えているケースが少なくありません。
これらの赤字路線を補填するために、全体の運賃値上げに踏み切る必要が出てくることがあります。
東京メトロ以外の地下鉄は、東京ほど高い需要がない地域が多い上に、鉄道各社との競争も激しいため、利用者の利便性をより強く求められます。



関西の鉄道とか関東以上に私鉄が強いよね・・・
そのため、多くの場合、古くからある使い慣れた路線が優先され、深く地下を走る新しい路線は利用者が伸び悩んで赤字になる、というケースが多く見られます。
東京メトロは、その高い収益力によって、長距離運賃を低く抑えることが可能になっているのですね。
まるで、人気のあるお店が、その売上のおかげで価格を安く抑えているようなものです。
開業時期が古い路線が多い
もう一つの大きな理由は、路線の建設にかかったコストにあります。
地下鉄建設は莫大な費用がかかりますが、建設時期が古いほど、そのコストは格段に安くなります。
東京メトロの主要路線の多くは、昭和30年代から40年代(1950年代後半から1970年代)という、かなり古い時期に建設されました。
当時の建設費は、現在の物価水準や技術水準からすると非常に安価でした。
そのため、建設費の回収が早く終わり、その後の運営コストが比較的抑えられています。借金が早く返済できた分、その後の運用が楽になる、ということですね。



あとは運営歴も長いのもやはり大きい。
一方、他の地方都市の地下鉄の多くは、1980年代以降に最初の路線が開業しているケースが多いです。
高度な技術を要する現代の地下鉄建設は、多額の費用がかかるため、その建設コストを運賃に転嫁せざるを得ない状況にあると考えられます。東京メトロの「歴史の長さ」が、現在の運賃の安さにも大きく貢献していると言えるでしょう。
まとめ
くろとが大阪で感じた地下鉄の運賃の高さは、東京メトロが「特別に安い」という事実があったからこその感覚だったのですね。
東京メトロの長距離運賃が他の都市と比べて格安である理由は、主に以下の三つに集約されます。
- 地下鉄単体での長距離ユーザーの少なさ: 直通運転が多く、地下鉄内だけで長距離移動する利用者が少ないため、その運賃を高くする必要がない。
- 全路線の高い収益力: 利用者が圧倒的に多く、全ての路線が黒字経営であるため、運賃を低く抑える余裕がある。
- 開業時期が古い路線が多い: 建設費が安かった古い路線が多いため、初期投資の回収が早く、その後のコスト負担が少ない。
直通運転による利便性の高さ、圧倒的な利用者数、そして歴史的な背景が、東京メトロの運賃体系を独自のものにしているのです。
東京メトロの安さは、単なるサービスではなく、東京という都市の構造と歴史が作り出したものと言えるでしょう。
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